SQF(食品安全システム)の認証取得審査
品質管理を含む包括的な食品安全システムの認証規格
SQFは、米国のFMI(Food Marketing Institute:食品マーケティング協会)が所有・管理する、一次生産から加工・輸送・流通までのフードチェーン全体を対象とした食品安全・品質管理の認証規格です。
SQFの特徴
・製品認証であるため、ライン認証が可能
・産業分野ごとの要求事項区分
・認証レベルが3段階に設定
LEVEL1:食品安全の基礎
LEVEL2:HACCPに基づいた食品安全プラン(レベル2以上がGFSI承認スキーム)
LEVEL3:包括的な食品安全・品質管理システム
・LEVEL3の認証は、製品等にSQFシールド(認証を証明するマーク)の貼付けが可能
・審査スコアによる格付け
なお、この認証は、米Perry Johnson Registrars Food Safety, Inc. (PJRFSI)がANSI(米国規格協会)より受けている認定に基づくご提供となります。
SQFの特徴
産業分野ごとの要求事項区分
SQF規定は、パートA、パートBおよび添付資料から構成されています。パートAでは、SQF規定の実施と維持に関する全般の記述、パートBでは、適正製造規範(GMP)・適正農業規範(GAP)についてモジュール形式で要求事項が規定され、産業分野共通の「モジュール2:SQFシステム要素」のほかに、モジュール3から15まで、産業分野ごとの要求事項が区分されています。
モジュール2 | SQFシステム要素 – 産業分野共通 |
モジュール3 | 動物飼料安全の基礎 – 動物飼料製造における適正製造規範 |
モジュール4 | ペットフード安全の基礎 – ペットフード製造の適正製造規範 |
モジュール5 | 食品安全の基礎 – 動物生産品の飼育における適正農業規範 |
モジュール6 | 食品安全の基礎 – 魚養殖に関する適正養殖規範 |
モジュール7 | 食品安全の基礎 – 植物製品の栽培における適正農業規範 |
モジュール7H | 食品安全の基礎 – 植物製品の栽培における適正農業規範 |
モジュール8 | 食品安全の基礎 – 穀物・豆類栽培における適正農業規範 |
モジュール9 | 食品安全の基礎 – 動物生産品前処理における適正製造規範 |
モジュール10 | 食品安全の基礎 – 植物製品の前処理における適正製造規範 |
モジュール11 | 食品安全の基礎 – 食品加工における適正製造規範 |
モジュール12 | 食品安全の基礎 – 食品の輸送・流通における適正製造規範 |
モジュール13 | 食品安全の基礎 – 食品包装資材製造における適正製造規範 |
モジュール14 | 食品安全の基礎 – 食品仲介業者および代理業者の適正製造規範 |
モジュール15 | 食品安全の基礎 – 食品ケータリング業、卸売業、小売業の適正製造規範 |
認証LEVEL
SQFは、3つのレベルに分かれており、各レベルで認証要件、審査日数などが異なります。システムを構築する前に、目指すレベルを選択することになります。
レベル名 | 備考 | |
---|---|---|
LEVEL1 | 基本的な食品安全 | 新規企業および発展中の企業のためのエントリーレベルで、GAP/GMP/GDPの要件と食品安全の基礎要素のみが対象(モジュール2) |
LEVEL2 | HACCPに基づいた 食品安全プラン | LEVEL1要件に加え、ハザードと危害の除去・予防・軽減措置を特定するために、製品および製品に付随する食品安全リスク分析が完了していなければならない。LEVEL2のモジュール2のシステム要素が必須 |
LEVEL3 | 包括的な食品安全・ 品質管理システム | LEVEL1、LEVEL2のシステム要素に加え、製品および製品に付随する食品品質リスク分析が完了していることと。品質低下発生予防のために講じる措置を表明する。LEVEL3のモジュール2のシステム要素が必須 |
※LEVEL2、LEVEL3はGFSI承認スキームです。
※LEVEL2とLEVEL3はSQFロゴを販促物に使用できます。
※LEVEL3はSQF認証を証明するマーク(SQF品質シールド)を製品のラベルや包装に使用できます。
審査スコアによる格付け
審査スコアは、不適合の数および種類(リティカル・メジャー・マイナー)によって減点方式により算出されます。合格点は70点であり、算出された審査スコアによって、E(優)、G(良)、C(合格)、F(不合格)の格付けが行われ、その後の審査頻度が決定されます。
参考:「SQFI規定 食品業界向け、HACCPに基づくサプライヤー保証規定」第7版
SQF(食品安全システム)の認証・取得のメリット
- 製品認証であるため、製品やラインを限定した認証が可能です
- 製品等にSQFシールド(認証を証明するマーク)を貼り付けることにより差別化が可能です
- 食品の安全と品質両面の管理システムを構築できます
- 範囲や基準の異なる複数の監査にかかるコスト・労力を低減できます
- 統一された管理基準により、不良・ロスやムダを削減できます
- 食品安全への要求の高い製造業や小売業からの取引条件を満たし、取引の機会拡大につながります
- 消費者や社会に、安全な食品を製造・供給できることを証明し、ブランドイメージの向上が期待できます
SQF(食品安全システム)による課題解決事例
お悩み①
すべての製造ラインではなく、主力ライン(製品)のみを戦略的に認証したいのですが、特定ラインのみの認証は可能でしょうか。また、製品にマークを付けることができると聞いたのですが。
解決
ISO22000やFSSC22000など多くの食品安全規格はマネジメントシステム認証ですが、SQFは製品を認証する規格です。そのため、SQFでは特定のライン(製品)のみを認証することが可能です。
また、SQFでは対象製品の特性と整合したモジュール(適正製造/農業規範)への対応となるため、効率的に運用することができます。
さらに、3段階あるSQF認証のLEVEL3を取得すれば、その対象製品にSQFシールド(認証を証明するマーク)を貼付することも可能で、競合との差別化を含め、戦略的なツールとしての活用も期待できます。
SQFの認証レベルについては、こちらをご覧ください。